「竜とそばかすの姫」を見た(ネタバレ)

杉山です。 「竜とそばかすの姫」を見ました。 以下はネタバレを含む感想です。ご注意ください。

この映画をいい話と評してしまう人々を皮肉った映画だなと感じました。

ひとりの女子高生をヒロイン、スターとして祭り上げる大勢の匿名の人々。 匿名で、正義を振りかざし、本来最も救うべき人を攻撃する人々。 助けを求めた人に無責任な救いの言葉だけをかけ、実際には問題を何も解決していない匿名の人々。

これらは今のインターネットを投影していると解釈しました。 映画を見ながら細田守はこれほどまでにインターネットユーザーが嫌いなのかと何度も思いました。

「U」の世界で「ベル」が「スズ」だと気づいていながら危機的状況になるまでそれを黙って気づいていないことにしている周りの人々がバーチャルとリアルを切り分けている価値観を表しています。

そして、最終的な解決を「スズ」ひとりに任せてしまう周りの大人(本人が決めたことだからと納得して)と、そうせざるを得ない状況にした社会。何というか救いようのない話です。

興味本位で「ベル」のリアルは誰なのかと話題にし詮索するコンテンツの消費はVTuberの中の人を探し出そうとする今のインターネットと同じです。

「サマーウォーズ」のような見かけをしていますが、サマーウォーズの大家族がそれぞれ協力し合って問題を解決するのに対して「竜とそばかすの姫」は「スズ」の自己犠牲的な優しさで問題を解決します。

あまり気持ちの良い話ではないですが、良い映画ではあると思いました。