筑波大学基幹サイトリニューアル事業から見える筑波大学の広報戦略

こんにちは。 筑波大学について調べていたところ、「筑波大学基幹サイトリニューアル事業」という公募がされているのを発見しました。

筑波大学基幹サイトリニューアル事業に関する公募要領

この公募要項によると、筑波大学はサイトリニューアルの目的を以下の4つとしています。

  • 本学の研究教育を社会に発信する
  • 本学のブランドを社会に発信する
  • 学内の広報コンテンツを有効利用する
  • ウェブサイトの媒体特性を有効利用する

目的に関連して、以下の4つの点もリニューアルにあわせておこなうとしています。

  • タブレットやスマートフォンを含むマルチデバイス対応
  • 日本語版と英語版のデザイン統一
  • オウンドメディアの新規構築
  • 分散しているCMS(コンテンツマネジメントシステム)の統合
  • 学内サーバから外部サーバサービスへの移転

現在の筑波大学基幹サイト http://www.tsukuba.ac.jp はスマートフォンなどのモバイルデバイスに最適化された表示がされていません。 そして、おそらくは現在の日本語版基幹サイトとは別に英語版サイトを構築したため、デザインの統一が日本語版と英語版でされていません。

資料を読み進めると、現在はWordPress・Concrete5・個別CMS(個別に構築?)・HTML編集の4つの手法でそれぞれのコンテンツを管理しているため、それらを統合することで管理の効率化なども期待されているようにみえます。

学内に基幹サイトのサーバが設置されているため、大規模災害でサイトの公開を継続できなくなる可能性があります。そのため、リニューアルのタイミングで外部にサーバーを移転するようです。

以上の3つはサイトリニューアルとしてはありがちな目的のように感じますが、今回のリニューアルではオウンドメディアの新規構築もおこなうようです。このことから筑波大学の広報面での方向性が見えます。

紙からウェブへの転換

筑波大学に関連する公式?の広報誌としては以下のものがあります(ありました)。

  • Campus (全代会)
  • 筑波大学新聞 (編集は学生主体、発行は筑波大学)
  • TSUKU COMM (編集・発行ともに広報室)
  • STUDENTS (編集は学生生活支援室、発行は学生部学生生活課、2018年6月で廃刊)

それぞれ、インターネット上でも公開されていますが、PDFファイルでウェブでの閲覧には最適化されてはいません。 また、現在の基幹サイトには読み物的なコンテンツもあるにはあるのですが、それよりはプレスリリース的なコンテンツ寄りであると個人的には感じていました。

筑波大学は最近になってInstagramの公式アカウントを開始しましたが、なぜかTwitterの公式アカウントはありません。基幹サイトにはRSSがあるコンテンツもありますが、どちらかということ能動的にサイトにアクセスしないと筑波大学の公式な情報を入手することはできません。ただ、現在のサイトがそのように定期的にアクセスしたくなる設計ではないように思えます。 今回のリニューアルで、オウンドメディアとして情報の設計をし直すことで情報発信の方向性を変えたいのではないかと感じました。

「IMAGINE THE FUTURE.」ブランドの推進

筑波大学の視覚的なブランディングとしては、校章とつくば紫の従来のブランディングと、「IMAGINE THE FUTURE.」のブランドスローガンとつくばブルー/ FUTURE BLUEの新しいブランディングがあります。 現在の基幹サイトは従来のつくば紫を基本としたデザインになっていますが、今回のリニューアルでは「IMAGINE THE FUTURE.」を軸としたデザインにするようです。 そのため、今回のリニューアルは「IMAGINE THE FUTURE.」のブランドを推進していく施策であるとも思えます。


これらのことから、このサイトリニューアル事業は単にサイトをアップデートするだけでなく、社会への情報発信の強化と筑波大学ブランドの推進を重視しているように感じました。

以下のリンクにこの記事では触れななかった情報も多くあるため、さらに知りたい場合は読んでみると面白いと思います。

http://zaimuhp2.sec.tsukuba.ac.jp/public/data/1561099012253596.pdf