「筑波大学パソコン」について筑波大学に聞いたこと、Twitterのリスクと問題について

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筑波大学パソコンの説明ページ
こんにちは。筑波大学 情報メディア創成学類の杉山と申します。

先日、Twitter上で話題になった「筑波大学パソコン」について、個人的に気になったので筑波大学の関係部署に話を聞きに行きました。そこで得た情報について可能な限り記事としてまとめたいと思います。

この記事は筑波大学 広報室の内容確認の上で公開しています。

疑問の整理

私は筑波大学パソコンに関して調べていく中で、いくつかの独立した疑問点があると思いました。

筑波大学の名称や校章を使用している点

「筑波大学パソコン」に筑波大学の名称が入ってたり、特典として筑波大学の校章のあるUSBメモリがあげられていました。この点について筑波大学が許可しているのか疑問がありました。

筑波大学パソコンの宣伝方法について

インターネット上には筑波大学パソコンの販売ページしか、筑波大学パソコンに関するまとまった情報がなく、筑波大学パソコンをどのようにして新入生が知るのかがよくわかりませんでした。

商品が高額な点

筑波大学パソコンはサポートの充実さを謳っていますが、それを踏まえた上でも商品が高額ではないかという指摘がありました。

販売会社が株式会社クロノファクトリーであること

筑波大学パソコンを販売している株式会社クロノファクトリーは筑波大学生向けにこれ以外にもいくつかの事業を行っています。それを過去に利用した人や関わった人から、対応に問題があったという情報提供がありました。 また、株式会社クロノファクトリーの事業内容と一致する企業が筑波大学内で無許可の営利目的の宣伝行為を行っていたという筑波大学新聞の記事もありました。

筑波大学と株式会社クロノファクトリーの関係

筑波大学パソコンを販売している株式会社クロノファクトリーと筑波大学にどのような関係があるのかが不明でした。

筑波大学に聞いてみた

大きく話題になった2月17日は休日だったため、その翌日の18日に回答が得られそうな大学の窓口へ向かうことにしました。

図書館情報エリア支援室

最初に私が所属している情報メディア創成学類を担当する、図書館情報エリア支援室に話を聞きに行きました。

支援室の方は筑波大学パソコンについて知らなかったようで、私の問い合わせ内容を学生生活課に確認しているという様子でした。そのため、その場では情報を得られませんでした。

学生部 学生生活課

支援室が学生生活課に確認をしていたため、私が学生生活課に行って聞いたほうが早いと思い、学生生活課に話を聞きに行きました。

学生生活課ではある程度の情報を得ることができましたが、詳細については広報室に聞いてほしいとのことでした。学生生活課の方から広報室に連絡をしていだき、その日のうちに広報室の方と話ができることになりました。

広報室

広報室では筑波大学パソコンについて詳しくお聞きすることができました。 学生生活課での情報と合わせて、回答を次にまとめます。

疑問についての筑波大学の回答

先述のそれぞれの疑問点について、回答や事実を書いていきます。

筑波大学の名称や校章を使用している点

「筑波大学パソコン」を販売しているのは、筑波大学から「UTshop きりのは」の運営業務を競争入札で落札し、業務委託された株式会社クロノファクトリーです。 筑波大学パソコンはUTshop きりのはで販売されている他のグッズと同様の筑波大学公式オリジナルグッズという扱いです。筑波大学公式オリジナルグッズは筑波大学内の委員会で審議された上で販売されています。

そのため、筑波大学の名称や校章は適切な手順を経て使用されています。

筑波大学パソコンの宣伝方法について

学生部 学生生活課でお聞きしたところ、筑波大学パソコンを新入生が知るのは、筑波大学が新入生に送付する入学書類に同封されたチラシだそうです。これについても適切な手順を経て同封されているそうです。 また、筑波大学パソコンだけが大学の書類にチラシを同封しているわけではなく、宿舎入居者向けの書類には別に業者の広告も同封されているそうです。

商品が高額な点

筑波大学パソコンについては、あくまでも購入は個人の判断であるが、一方で、価格が高額である点については、そのような意見があることに理解を示していました。また、先述のとおり、「UTshop きりのは」は、個々の商品の値付けについても株式会社クロノファクトリーに業務委託されているそうです。

販売会社が株式会社クロノファクトリーであること

「UTshop きりのは」の運営業務は競争入札によって業務委託先が決定されました。そのため、やはり適切な手順を経て株式会社クロノファクトリーがUTshop きりのはの運営に関わっていることになります。

まとめ

今回わかったのは、株式会社クロノファクトリーと筑波大学が適切な手順を経て筑波大学パソコンを販売しているということでした。

蛇足

以下の文章はあくまで私の感想・意見であり、筑波大学の見解ではありません。

私は筑波大学パソコンがバズる少し前から今日まで、発言もしながらこの話題について追っていました。その中でTwitterでの情報発信にまつわるリスクや問題を感じました。

当初、筑波大学パソコンについてTwitter上で言及していたのはごく一部の筑波大学生だけでした。 2月17日にこれについて言及したツイートが大きく拡散されたことにより、それまでとは違った筑波大学生にリーチしただけでなく、それ以外の第三者の目にも止まることになりました。

筑波大学パソコンについての筑波大学生内の論調はどちらかと言えば否定的だったと思います。その根拠としては、スペックが価格に対して妥当ではない、サポートが信頼できないことなどがありました。それに加えて、販売する株式会社クロノファクトリーに対する批判もありました。

そのようなツイートが筑波大学生でされているなか、筑波大学パソコンについてのツイートの拡散が進み、第三者のツイートやリプライが目に入るようになりました。

第三者からでも筑波大学パソコンが高いというツイートはありましたが、一方でスペックとサポートを総合するとこの価格は妥当ではないかというツイートもされるようになりました。あくまでも私見ですが、そのような筑波大学パソコンに肯定的なツイートを筑波大学生はあまり受け入れていないように見えました。

筑波大学生内ではどちらかといえば否定的な論調である一方で、第三者については賛否両論であったように見えました。

これが17日の夜までの流れです。18日以降、この話題をツイートする人は徐々に少なくなり21日には私ぐらいしかツイートしていません。時間の経過や情報の追加があまりなかったことなどにより興味関心が薄れていったのだと思います。

私はこのようなTwitterの情報の消費には問題があると思いました。今回のような場合、最初に話題になったツイートには事実の誤認、情報の理解不足があるため、それだけではその対象(今回であれば筑波大学パソコンや株式会社クロノファクトリー)を否定も肯定もできません。実際、筑波大学パソコンが筑波大学に無許可で販売されているような内容のツイートや、筑波大学パソコンを筑波大学が販売している(実際は筑波大学が業務委託した会社が販売)、もしくは筑波大学の生協が販売している(筑波大学に生協はない)という内容のツイートを見ました。このような間違った情報をもとに正しい議論をすることはできないと思います。

しかし、Twitterで拡散されるのは最初に話題になったツイートだけになることが多く、訂正や補足のツイートは拡散されません。これでは、間違った情報での認識がそのままになってしまいます。今回の場合であれば、「筑波大学パソコンは不当に高い」、「筑波大学パソコンは筑波大学に許可なく販売されている」、というようなことが考えられます。

このような、間違った情報やそれによる情報だけが拡散されやすいことはTwitterの問題だと今回改めて感じました。

また、この問題に関して無視できないリスクがあります。 私は法律の専門家ではないので断定はできませんが、このような間違った情報の発信は名誉毀損や業務妨害のような犯罪になる可能性があると思います。 今回の場合、新入生のことを案じてとは思いますが、「筑波大学パソコンは買うな」というようなツイートも見かけました。

このような情報を気軽に投稿できてしまうのがTwitterだと思います。Twitterの特性上、意図しないツイートがリツイートなどによって爆発的に拡散されることもあります。それをコントロールすることは誰にもできません。

筑波大学パソコンの一件でTwitterのリスクと問題について強く認識し、一層注意して利用していきたいと思いました。


最後に、筑波大学職員の方々にはお忙しい中対応していただいたきありがとうございました。